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しつけにワザあり
 今回は、東京都中野区のUさん宅にお邪魔し、訓練士の岩田さんによる子犬の訓練を密着取材しました。最初が肝心と、最近特に重要視されるパピーレッスンって、いったいどんなことをするのでしょう。これから子犬を迎えたり、すでにパピーと暮らしているみなさんの参考になりますように。
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ディオンくんのデータ
写真
犬種 ボーダーコリー
性別 男の子
年齢 2ヶ月半
性格 思慮深く飲み込みが早い
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ヒアリング!
すまいるわん 「今日は、パピーレッスンの見学、ということで同行させてもらいました。取材ということは特に意識せず、いつもどおりのレッスンを見せてもらえればと思います。ディオンくんのパピーレッスンは、今日がまったく初めてですね」
岩田 「そうです」
すまいるわん 「ディオンくんがUさん宅に来て、今日で何日目くらいですか」
Uさん 「2週間ちょっとですね。とても頭が良い子のようで、教えたわけでもないのに、オスワリやハウスが、いつのまにかできるようになっている状態です」
すまいるわん 「それはうらやましいですね。それでも、きちんとした訓練をするかしないかでは、先々だいぶ違ってくるのでしょうね。岩田さんお願いします」
岩田
<表1>
服従姿勢(仰向けの姿勢をとらせる)
タッチング(体を触る)
マズルコントロール(鼻や口を触る)
ハウストレーニング
オペラント技法(基本姿勢)
環境馴致(早いうちからの外出)
引っ張り防止
トイレトレーニング
遊び方
出せ(口に咥えたものを出させる)
飛び付き・じゃれ付き
甘噛み
お手入れ方法(爪切りなど)
車酔い防止
はい。まずパピーレッスンというのは、通常このような(表1)メニューを元に、飼い主さんと相談のうえおこないます。だいたい週に1度、1ヶ月間程度通うことが多いのですが、大事なのは、パピーレッスンというのは、訓練士が子犬を訓練するのではなく、飼い主さんに訓練方法をお教えして、飼い主さんがそれを理解し実行してくれることです。また、1回の訓練でどこまでお教えするかは、飼い主さんとわんちゃんの状況により決めることになります」

「それでは、まず最初は問診から入ります。飼い主さんに、困っていることや気になることは何かをお聞きして、そこからアドバイスをしていきます。Uさんいかがですか」
Uさん 「ひとつは、トイレです。じつは、何も教えていないのに、9割方トイレシートにしてくれるのですが、10回に1度はシートからはみ出してしまいます。これをより完璧にできればと。ふたつめは、甘噛み。すぐに私の手を甘噛みしてきます。イケナイと言えばやめるのですが。みっつめは飛び付きです。見境なくじゃれついてくるので、飛び付いても良い時といけない時で、メリハリをつけたいと思っています」
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ワザあり!
ワザ1 トイレを覚えさせよう
岩田 「わかりました。まずトイレですが、犬というものは、より足元の柔らかいところで排泄をする習性があります。自然の中で暮らしていた時からの癖なのですが、この習性をうまく利用すればいいのです。つまり、お部屋の中が一面じゅうたん敷きだったり、いたるところにマットを敷いていて柔らかい場所がたくさんありすぎると、犬はどこに排泄しても良いのだと勘違いし、好きな場所を選んでしてしまう可能性が高くなります。ですから、床のお部屋の中に一部分だけ柔らかい場所としてトイレシートを設置すれば、犬は自然に、そこが排泄に適している場所だと覚えやすいのです」

「トイレシートはなるべく大きめのものを使い、また、できるだけ犬の遊び場やテリトリーの近くに置いてあげてください。この時犬の性格によって、見晴らしの良い場所に置いたほうがいい場合、逆についたてなどで区切って人間の視線を遮断してあげたほうがいい場合など、さまざまです」

「トイレを上手にした時は、よく誉めてあげてください。誉め方は犬により、“大げさにほめる”“おやつをあげる”“静かにほめる”など使い分けてください。逆にトイレに失敗したからといって、絶対に叱ってはいけません。叱れば排泄行為そのものが良くないことだと、かわいそうな勘違いをさせてしまうことになります。付け加えれば、トイレシートを1回排泄するごとに取り替えていると、子犬は完全にキレイなトイレでしか排泄をしない、神経質な性格になってしまう場合があります。1枚のシートに2回程度排泄するまでは、シートは取り替えないほうが良いでしょう」
ワザ2 甘噛みをやめさせよう
岩田 「次は、甘噛みですね。甘噛みを抑えるには、トイレとは逆に、まずきちんと叱ることです。噛んできたらすかさず、威厳のある声で短く一言だけ“ダメ!”“No!”などと、犬がびっくりして萎縮するほどの強さで叱ってください。大切なのは威厳ですから、特別大声で怒鳴る必要はありません。悪い叱り方はこの反対で、くどくどと言い聞かせるような口調で叱ってしまうと、犬は飼い主さんが相手にしてくれたと勘違いをしてしまいます。一度犬に、甘噛みをすれば遊んでくれると思われると、修正はそれだけ難しくなってしまいます」

「ある程度甘噛みが癖になってしまったり、飼い主さんが性格的に強く叱れない方の場合のですが、1.噛んできたら叱らずに、手をゆっくり引っ込めて一切無視する。2.無視してもまとわりついてくるなら、部屋を出て犬から見えないところに移動してしまう、という方法になります。子犬の甘噛みというのは、飼い主さんに遊んでほしいという要求ですから、それを一切無視することで、犬に“噛んで遊びを要求すると、飼い主はかえって無視したり、どこかに去ってしまうので寂しい”と思わせるのです」

「それでもうまくいかない場合は、噛んできたら犬が嫌がる音を出しましょう。私がオススメするのは、小さなチェーンを使うことです。チェーンを床に叩き付けたり、犬の顔のすぐ前で大きな音で鳴らしたりして驚かせ、嫌な思いをさせます。この時に、かわいい子犬だからといって遠慮する必要はありません。犬が本当に嫌がるように、思い切り大きな音で驚かせてください。また、飼い主さんは犬に視線を向けず、そ知らぬ振りで音を出してください。犬には、飼い主さんが意図的に音を出したのではなく、噛もうとしたら天罰がくだった、と思わせたほうが効果的だからです」
ワザ3 飛び付きをやめさせよう
岩田
(写真1)
写真
まさに飛び付こうとする瞬間! は撮影できなかったのですが(スミマセン)、このように両の手のひらで×印を作り、飛び付いてきた犬の鼻先を押し返します
「それでは、飛び付きに移ります。パピーのような、まだお散歩には出かけない段階で、人に飛び付くことはいっさいダメ、と教える必要はありません。飛び付いて良い時と、今は邪魔だからやめろ、という状況の違いを犬にきちんと理解させ、遊びのメリハリをつけることが重要です」

「基本的には、飛び付かれて困る時には、“ダメ”と声で短く叱ってください。これでやめればOKですが、やめてくれない場合は、両手の手のひらで×印の壁を作り、犬が飛び付こうとする瞬間をうまく狙い、鼻先を瞬間的に軽く突き返してください(写真1)。この時、犬の鼻先に当たってしまってもかまいません。怖がらずに突き返してください」

「このテクニックは、このやり方をする人と犬との間しか有効ではありません。つまり、お散歩に出るようになった後で、他人に飛び付くなどの癖があった場合は、まったく別の修正方法になります。また、突き返すタイミングを間違えると、犬は遊んでくれていると勘違いする場合もあります。ですから、飛び付いてからではなく、あくまでも飛び付こうとする瞬間を狙う、というところに注意してください」
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よいこになあれ!
岩田 「その他に、何か気になることや質問などはありませんか?」
すまいるわん 「私から質問なのですが、岩田さんのパピーレッスンのメニューには、お散歩や車でのおでかけについて、というのもありますが、子犬の段階で外出してしまっても良いのですか?」
岩田 「そうですね。この部分は、獣医さんやブリーダーと訓練士では考え方が違う部分になります。獣医さんは、どうしても犬が病気にかからないことを重要視しますから、ワクチン接種が終るまでの期間は絶対に外出させないように、と言います。これは確かに一理あるのですが、じつはワクチンで予防している病気の中で、空気感染するものはそれほどなく、ワクチン接種前に外出したからといって、これに感染する確率はとても低いのです。ですから、生後3週間ぐらいからワクチン接種の終了までは、抱っこしたりキャリーバッグに入れて、絶対に地面に降ろさない、他の犬や人には触らせないといった点を徹底したうえで、短時間でいいから積極的に外出し、子犬を外の環境に慣らすことを、私はオススメしています。特に小型犬や、性格的に神経質な子の場合は、このような訓練をしておかないと、お散歩が苦手な犬になってしまうこともありますから」

「また、将来の車酔いを予防するために、車に乗せて近所を走るというのも大切ですね。じつは犬というのは、子犬のころのほうが車酔いをせず、大きくなるほど酔いやすくなるものなのです。ですから、生後3週間(目が開く頃)から2ヶ月くらいまで積極的に車に乗せておけば、乗り物酔いをしにくい子に育ってくれるのです」
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盛りだくさんのパピーレッスン、この続きは来月お送りします。お楽しみに!
その後ど〜ですか?
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第4回「ちょっと怖いよ〜! の噛み付き癖を治そう」に登場していただいた本田さんに、近況をお聞きしました。
「噛み癖、ほとんど治りました! 以前は、私や主人の手に見境なく噛み付いてきたのが、訓練の結果、たまに興奮すると足を甘噛みしてくる程度になりました。その時もダメと言えばすぐやめますし、他人を噛むことはまったくと言っていいくらいなくなりました。なんといっても、教えられたとおりアイコンタクトを徹底したところ、常に私の視線や命令を意識するようになり、お散歩中に他のわんちゃんの飼い主さんから羨ましがられるほどです(笑)。飼い主がリーダーなんだという順位付けを、きちんと理解してくれたみたいですね。本当に助かりました」
本田さん、順調に解決できているようで良かったですね!!
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次回の更新をお楽しみに! バックナンバーはこちらです。
2004年1月は、第5木曜日に更新予定です。
リクエスト募集
「しつけにワザあり」では、このコーナーに登場していただけるユーザーを募集しています。実際にわんちゃんのしつけや癖などで困っていることを、プロの訓練士がお伺いして解決に乗り出します。
 応募条件は、「(現在のところ)東京都区部、埼玉県南部近辺に在住であること」、「ご自宅取材・撮影に応じていただけること」、「数月後に、コメントなどで結果報告をしていただけること」です。取材後に、有料の訓練を受ける義務はありません。
 
user@b-p.co.jpまで、「あなたのお名前・住所・年齢・性別・職業・家族構成・電話番号・メールアドレス、わんちゃんの名前・犬種・性別・年齢・困りごとの内容(具体的に)、すまいるわんの会員登録をしているかしていないか」を明記してお送りください。たくさんのご応募をお待ちしています。
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