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さまざまわんこ模様
わんこ愛情物語 文・イラスト/大川愛子さん
※イラストをクリックすると、拡大表示できます
−第2部−「ゆうれい犬さんのお願い」 第6回

神様の企画

 ブルブルブルブル、ガクガクガクガク。
 そんな中、一人の勇気ある者がいました。そう、あのどろぼう顔のシーズー犬ちゃん!
 ヘビさんたちに向かってキバを剥き出し、ドスの効いた唸り声で威嚇しながら、ジリッ、ジリッと近付いて行く。
 ヘビさんたちも負けてはいない。長い舌を出し「シャー、シャー」と、さらに大きく口を開けた。
「このままじゃ、どろぼう顔のシーズー犬ちゃんは飲み込まれちゃうよ、お母ちゃんなんとかしてぇー」
「な、なんとかったってぇー! お母ちゃん普通のヘビは平気だけど、あんな5メートルもあるヘビは見たこともないもん、怖いもん、やだもん」
「もうー、もん、もん、ばかり言ってないで、いつも女は度胸って言ってるでしょ!」
 とその時、大きいヘビさんの方が、おばあちゃんを目掛けて飛びかかった。
「キャー」
 全員の悲鳴。
イラスト
 一瞬閉じてしまった目を開くと、なんと大きいヘビさんの首に、どろぼう顔のシーズー犬ちゃんがぶら下がっている。
「何? やられてるの? やっつけてるの? どっち?」
 ヘビさんにブンブン振り回されても、どろぼう顔のシーズー犬ちゃんは、噛み付いたまま離れなかった。
 やがて、どれだけ時間がたったのか、ヘビさんは疲れて、地面にベタッと頭をつけた。同時に、どろぼう顔のシーズー犬ちゃんが口を放すと、その一瞬の隙にヘビさんたちは、岩陰へと逃げて行った……。

 みんなでホッとした顔をしていると、どろぼう顔のシーズー犬ちゃんは、腰を抜かして震えているおばあちゃんの傍に近付き、顔をペロペロ舐めだした。
「あー、ありがとう。貴方のお陰で命拾いしたわー、本当にありがとう」
 おばあちゃんはそう言うと、シーズー犬ちゃんの頭を優しく撫で始めた。そして、お母ちゃんに向かい、
「このわんちゃんは、どちら様の子ですか?」
 と聞いてきた。
 お母ちゃんが、この子はいつの間にかホテルの駐車場にいた子で、市役所に尋ねても迷子の届けはないし、首輪もしていないので、身体の汚れからすると捨て犬かもしれないと説明すると、おばあちゃんは、
「お願いがあります。この子をぜひ、引き取らせてくれませんか?」
 と頼んできた。

「え〜え〜、そのためのわんこですから」
 ようやく頭が働き始めたお母ちゃんは、おばあちゃんには意味不明な返事をしてしまった。
「えっ?」
 不思議そうな顔をするおばあちゃんに、
「アッ、いいえ、なんでもないです。おばあちゃんに育ててもらえば、この子はきっと幸せになれると思います。じつは、こちらも本当のことを申しまして、これ以上わんこを増やすことが出来なくて、悩んでいたところです。なんせ7頭もいるんですから」
 と、お母ちゃんは日頃の疲れを、わざとらしく(?)顔に出して言う。
「そうですか、ありがとうございます。大切に育てさせていただきます。良かった、本当に良かった。私はヘビが大嫌いで、どんな小さいヘビでもダメなんですよ。毎年この時期になると、恐ろしくて庭に出ることも出来なかったんです。でも、今日はなぜだか外に出たくなってしまって、そのせいで……。でも、この子がいれば、これからは安心して庭いじりができます」
 おばあちゃんはニコニコと、とても嬉しそう。どろぼう顔のシーズー犬ちゃんはその間にも、ちゃっかりとおばあちゃんの膝の上に乗り、何事もなかったような顔をして甘えていた。

「それじゃ、そろそろ帰りますので」
 お母ちゃんは、どろぼう顔のシーズー犬ちゃんの頭を撫でながら、
「良かったね、今日から貴方は、ここの子だからね。お役目しっかり果たすのよ。じゃ、おばあちゃんお邪魔しました」
 と言い、帰ろうとした。
「あのー、この首輪とリードは?」
 おばあちゃんが聞いてきた。
「あー、いいですよ、うちのコロちゃんのお古ですけど、遠慮なくお使いください」
 と、太っ腹な返事をするお母ちゃん。
 ……しかし、おばあちゃんは心の中で、「こんな汚いのはいらないわ」って思っているに違いない……。

 まっ、何はともあれ、ゆうれい犬さんにお願いされた、おばあちゃんとわんこの出逢いがいつの間にか成功したんだから、良かったと言えるだろう。
 でも、神様も面白い企画を立てたもんだ。こんな方法で二人を逢わせるなんて……。

 それから何日かたって、あの大蛇のことは、近所でも有名な話になった。お散歩に行くと、
「奥さんも見たんですって? 10メートルもある大蛇を!」
 と、いつの間にか実物の2倍の大きさになっている。
「奥さん、あのお屋敷には、大蛇が何十匹もいるんですって!」
 と、お屋敷をまるでヘビ屋敷のように言う人もいる。
「あのお屋敷にはすごく強い番犬がいて、ヘビのような顔をしたどろぼうに噛み付いて、みごと捕まえたそうよぉー」
 と、混ぜこぜのメチャクチャな話をしている人もいた。
 こんないろいろな噂話に、「あったく!」と怒りながらもお母ちゃんは、適当に合わせながらその時の様子を再現してみせている。
 結構楽しんでるじゃん。お母ちゃんも噂話好きなんじゃないの!
 ほかにも、「あそこのホテルに行くと、わんちゃんをくれるそうよ」なんていう噂話にもなりました……。

 ※本当に、数人の方が訪ねて来たことがあります……母より

 ともあれ、どろぼう顔のシーズー犬ちゃんは、お相撲好きのおばあちゃんに、貴乃花から1字とって貴(タカ)くんと名付けられた。今では、朝は一緒に起きて、ご飯を食べて草むしりの手伝い? をしながら庭で飛び回り、ねぶた祭りをしてからテレビを見て、夕食をとってから少しじゃれ合う、という毎日のスケジュールを、楽しくこなしているようだった。

イラスト  セミの声も徐々に少なくなり、そろそろ美しい音色を奏でる秋の虫さんたちにバトンタッチする時季になってきた頃、ご近所にお刺身をおすそわけすることになりました。
 順番に配り、最後があのおばあちゃんのお屋敷。
「さっ、ポーちゃん急がないと。おばあちゃんの家、夕ご飯の時間が早いから」
 と、お母ちゃんは盛り付けられたお刺身が崩れないよう、慎重に運んで行った。
「こんなに飾りつけなくてもいいのに」
 と、姿造りの魚の頭を指で押さえながら、ブツブツ文句を言っている。
「こんばんわぁー」
 ドでかい声を出しながら、お屋敷の玄関チャイムを押している。ピンポーンがなんのためにあるか、わかっていないのかな?

 しばくしてドアが開き、おばあちゃんとどろぼう……あっ、違った貴くんが顔を出した。
「貴ちゃん、こんばんは」
 と愛想良くお母ちゃんが話しかけたのに、貴くんはプイッと横を向いてしまう。
 何! お母ちゃんにお世話になったこと、忘れちゃったの?
 おばあちゃんは、
「ごめんなさい、最近、愛想がなくて……。最初のうちは誰にでもしっぽ振って行ったのに、もうこの頃は私にベッタリで、他の人には全然行かないの」
 と、困った顔をしている。
 よほどおばあちゃんとの暮らしが楽しいのか、もしかすると、またどこかに連れて行かれるのではないかと、不安なのかも……。
 きっと、捨てられていた時に嫌な思いをいっぱいしたから、おばあちゃんから離れたくないんだね。私もそうだったから、よくわかるよ。

 お母ちゃんは、お刺身を、
「美味しいですから、食べてください」
 と渡し、
「貴ちゃん、バイバイ」
 と手を振って玄関から出た。じつは、お母ちゃんはお刺身が苦手で食べられない人なのに……。

イラスト 「良かったね、貴ちゃんもおばあちゃんも幸せそうで」
 と、お母ちゃんと私が喜びながら、お庭の石畳を歩いていると、
「ギョッ!!」
 あの時と同じ2匹のヘビさんが、こっちを向いてトグロを巻いている。
 動けなくなったお母ちゃんと私がボォーッと見ていると……なんと、大きなヘビは人間のおじいちゃんの姿に、小さいヘビは、あのゆうれい犬さんの姿に変わっていった。
「うっそぉー、じゃーあの時のヘビさんは、おじいちゃんとゆうれい犬さんだったの?」
 お母ちゃんと私は、顔を見合わせて驚いた。
 二人はすぐにヘビの姿に戻って、ゆっくりうなずきながら、
「ありがとう」
 とだけ言い残して、お空へ消えていった。
「そうかぁー、おばあちゃんと貴ちゃんを出逢わせるために、わざとおばあちゃんの大嫌いなヘビになって、自分の首をあの子に噛ませたんだ」
 お母ちゃんと私の胸はジィーンと熱くなって、おじいちゃんとゆうれい犬さんの優しさを、あらためて感じ取っていた。

 しばらくの間、お母ちゃんと私は、ただその場に立っていた。
 そのうちお母ちゃんが、
「さー、ポーちゃん、私たちも、ロクちゃんやクロちゃんが待っているからホテルに帰ろう」
 と声を出し、二人で元気よく歩き始めた。
「エイ、エイ、オー、私たちは幸せだー」
イラスト  と、近所の迷惑も考えず大声を出すお母ちゃん。
 大きな木のてっぺんあたりでは、「あんたうるさいよー」と、いつも「うるさい、うるさい」って言われて続けている、遅鳴きのセミさんが怒っていた。
「ごめんね、セミさん」
 ミィーン、ミンミン、ミンミィーン。
 ミィーン、ミンミン、ミンミィーン。

 カナ、カナ、カナ、カナ、カナ、カナ、カナ、カナ。
 チンチロリン、チンチロリン。
 いつの間にか秋の虫さんたちが、「セミさんからバトンタッチして、これから音楽を担当しますのでよろしく」と、鳴き始めました。
 そんな、ひと夏のゆうれい犬騒動のお話でした。
 神様に守られた生き物たちは、いつも、何かのメッセージを伝えようとしているかもしれません。みなさまも、お気をつけあそばせ。


第2部「ゆうれい犬さんのお願い」のご愛読ありがとうございました。第3部をお楽しみに!!
次回の更新につづく! バックナンバーはこちらです。
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写真 大川 愛子さん
栃木県出身。生まれたときから大勢のわんことにゃんこに囲まれて、とびきり明るく育つ。1999年に伊豆高原に、優しい夫とわがままをなんでも聞いてくれる姑、そして家族のような動物大好きスタッフ15名と一緒に、ペット同伴専用のプチホテル・サンロードをオープン。
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