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私、ポーちゃん
このお話は、マルチーズのポチが多くの動物たちと出逢い、その動物たちをとおして泣いたり笑ったり、ときには小さな身体で、必死に怒ったり、逃げたり、なぐさめたりする「わんこ愛情物語」でございます。
なお、今後のお話をわかりやすくするため、まずは自己紹介をさせていただきます。
私の名前はポチ、マルチーズの女の子
3月8日生まれの5歳
体重……2kg
血液型……わかんない
趣味……お母ちゃんに抱っこされてお昼寝
好きなこと……お母ちゃんと一緒にいること
嫌いなこと……お留守番、カミナリ、花火、動物病院
通称……ポーちゃんって呼ばれています
現在、ペットと泊るプチホテルの代表取締られ役専務秘書。
毎日、専務(私のお母ちゃんです)のご機嫌が良くなるよう、甘えたり、我がまま言ってすねてみたり、けっこう忙しく過ごしています。
生まれたときは未熟児で、今でも他の子と比べると「ちっちゃーい」って言われるけど、よく食べるし、よく吠えるし、すごく元気です。
私には、ミックス犬のチコちゃん、コロちゃん、ロクちゃん、クロちゃんの妹4人と、見かけはおとなしそうだけど、とてもやんちゃなシーズー犬の妹ロンちゃん、犬のような性格の猫、みぁーくんと次郎ちゃん(もう、15歳くらいです)、そして、最近お父ちゃんが道ばたで保護してきた、ちょっと汚く、ちょっと老け顔でワンワン、キャンキャンにぎやかな、弟の宗雄君がいます(年齢不詳ですが、たぶん年下だと思います)。
宗雄君はすごく凶暴で、機嫌が悪いと誰にでもすぐ噛み付くんです。
お父ちゃんとお母ちゃんは、いっつも噛み付かれて、手とか足とか血だらけになっているのに「いい子だ、いい子だ、宗雄君は本当にいい子だ」ってほめている。何かヘンだと思いませんか……?
まっ、そんなこんなで、いつの間にか多人数になっちゃったけど、近所では有名な幸せ家族です。 |
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お父ちゃんとお母ちゃんとの出逢い
私がお父ちゃんとお母ちゃんの子供になったのは、1歳と3ヶ月のとき。
前の飼い主さんが「もう、いらないから」と言って、ペットショップに返されたんだ。
悲しかったけど、ずーっとサークルの中だったし、おしっこやうんちをすると叩かれたし、正直言って、ペットショップに戻されてホッとしていた。
でもホッとしたのは、ほんの少しの間だけ……。
ペットショップのお姉さんも私の値段を下げたり、「この子はおとなしくていい子よ」と言っていろいろな人にすすめてくれたんだけれど、やっぱり1歳を過ぎた私を引き取ってくれる人はなかなかいなかったの。
サークルのお友達は、次々に優しそうなパパやママに抱かれて、幸せそうに甘えながら去って行く。
張り紙も、とうとう「マルチーズ無料で差し上げます」になり、ペットショップのお姉さんも「この子はもう処分ね」「困ったわねー、維持費もばかにならないのよ」と言って、扱い方もだんだん冷たくなってきました。
おしっこシートは新聞紙に替わり、ご飯も安いドッグフードになり、サークルも一番小さく、さび付いた汚い物に替えられました。
そんな時、ガラス越しにジーッと見つめる女の人がいたのです。
私は、しっぽを振って「クーンクーン、私を連れて行って」と一生懸命訴えました。「もしかして、こんどのお母ちゃん?」と思ったとき、その女の人は私を見てニコッとほほ笑み、ペットショップのお姉さんに何かを言って帰ってしまった。
すごく悲しかった、すごく寂しかった。涙が出てきた。
今日も、またこのサークルの中で独りぼっちなんだ。
夜になると、暗いし、寒いし、いやだよー……。
すこーしだけ覚えている、本当のお母ちゃんの温もりが恋しい。
身体をペろペろしてくれた、あの優しかったお母ちゃんに逢いたい。
甘えたい……。
いつの間にか私は、泣きながら寝てしまったの。
それから、どのくらいの時間がたったのかな?
優しく身体を撫でられ、暖かい温もりが全身に伝わり、心地良い感触で目を覚ました私は、さっきの女の人に抱かれていたのです。
そう、それが今のお母ちゃんとの出逢いだったのです。もちろん、その横には優しいお父ちゃんもいました。
お父ちゃんとお母ちゃんは、そのペットショップでたくさんのお買い物をし、私をふかふかのマフラーでくるみ「さあ、今日から私たちの子供だよ」と言ってチュッとキスをし、ジーッと私を見つめていました。
よく見ると、お父ちゃんとお母ちゃんの目には涙がいっぱいあふれていて、なんだかわからないけど、私まで悲しくなってしまいました。
私がお母ちゃんの涙をペロペロしていると、「今まで苦労してきたんだね。これからは、いっぱいわがままを言って、いっぱい遊ぼうね。うんと幸せにするからね」とお母ちゃんは言って、お父ちゃんの背中に顔を付けて、ゴシゴシと涙と鼻水をふいていました。
後から聞いてわかったんだけど、お父ちゃんとお母ちゃんは、私と一緒にサークルの中にいた、ちっちゃくて、一番可愛いヨークシャテリアの男の子を飼う予定だったんだって。
でも、私がもうすぐ処分されると聞いて、あわてて変更したんだって。
あのときニコッとほほ笑んだのは、「待っててね」の意味だったんだね。
良かった……。
あれから4年。
優しいお父ちゃんと、しつこいくらい愛してくれるお母ちゃん。そして、いつもいい子いい子してくれるおばあちゃん。
ホテルのスタッフの人たちも「ポーちゃん、ポーちゃん」と可愛がってくれるし、お客様もおやつを買ってきてくれたり、お洋服を作ってくれたり、とても嬉しいです。
もっとも、一番喜んでいるのはお母ちゃんかもしれないけど。
とにかく、私はいい人ばっかりに囲まれて最高に幸せです。
ホテルにはいろいろなお客様や、わんちゃん猫ちゃんたちがいっぱいお泊まりに来ます。
私のように「面倒見るのが大変だから」と言って、ペットショップに返された子。
山の中にロープで繋がれて、捨てられていた子。
殴られたり蹴られたり、ごはんを貰えなかったり、死ぬ一歩手前で保護された子。
もちろん、生まれたときから、優しいパパやママの愛情で育てられた幸せな子も、いっぱいいます。
そんなお友だちから聞いたお話しです。
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野良犬・捨て犬・拾い犬
黄色い綺麗なタンポポさんが、緑の芝生からヒョッコリ顔を出し、「おはよう。今日もいいお天気ね」「ぽかぽかで、気持ちいいねー」と、大空を優雅に飛び回る蝶々さんとお話しをしている。
ここは、私のお父ちゃんとお母ちゃんがお仕事をしているプチホテルの庭。
お客様のチェックアウトがすむと、やっと私たちが思いっきり遊べる楽しい時間がやってきます。
お母ちゃんの「皆様、大変長らくお待たせ致しました。ただいまより、お庭にGOの時間がやって参りました。よぉぉぉぉーいドン」と、みょーにかしこまったアナウンスによって、私たち姉妹は「ワンワンワンワン(待ってました!)」といっせいに部屋から庭へと飛び出します。
まずはおしっこしてからうんちをする、それから、みんなで遊んでお水を飲む、またまた遊んでおしっこしてから、また遊ぶ……エンドレス。
お母ちゃんは「1個、2個……7個と、よーし、これで全員OK」と、みんなのうんちを拾い集め、健康チェックをしてからコーヒータイムに入る。
この日は、抜け毛が多いチコちゃんと、猫のみぁーくんのブラッシングをしながらコーヒーを飲んでいる(周りの人は「コーヒーに毛が入ってしまう」と心配してくれますが、お母ちゃんは平気で飲んでいます)。
私は、「にゃ〜ご」とすり寄るみぁーくんが嫌いなので(だって、私よりう〜んとおっきいし、すりすりされると飛んで行っちゃうんだもの)、お掃除部隊のお姉さんたちに挨拶? しながら客室点検をしていたんです。
「他の子のおしっこの匂いはありませんか? もし、あったら許しません。私のおしっこで、匂いを消してみせます」
※いわゆるマーキングのことです。女の子でもするんですね……母より
「ポーちゃん……いけないよ」かすかに、お母ちゃんの声が聞こえたような聞こえないような……と、そのとき、
「コラーッ」
「誰っ……なんでこんなことするの!!」
「いけないって言ったでしょう!!」
「ロクゥー、コロー、えーと、それから……あとみんなぁー」
近くの大室山が、びっくりして噴火してしまいそうな大きな声を張り上げながら、お母ちゃんが妹たちを追いかけている。
「何怒っているんだろ……お母ちゃん」
ふと見ると、おばあちゃんが大切にしている花壇の中が、ものの見事にグチャグチャになっている。
「あーあ、もうすぐきれいなお花がいっぱい咲くのに、おばあちゃんに叱られたってしらないよ」
妹たちは、お母ちゃんの雷がなんで落ちたかわからない様子。
それどころか、お母ちゃんに追いかけられているのが楽しいとみえて、嬉しそうに走り回り、お母ちゃんもいつの間にか、
「まてまてー、クロまてー、コロちゃん、ちゅかまえるぞー鬼さんだじょー」
なんて言いながら、喜んで遊んでいる。
「だめだこりゃ」……。
しばらくして、突然、妹たちがけたたましい声で吠え出した。
見ると、フェンスの外から大きなわんこが、ウロウロしながら覗いている。
柴犬とシェパードのミックスかな?
古ぼけた茶色の首輪。泥とほこりにまみれ、お尻には大きな傷もある。
まだ治りきっていないカサブタだらけの皮膚が、ものすごく痛そう。
「ごはん、食べてないのかなぁー」
痩せた大きな身体は骨と皮ばかりで、鋭い目で見られるとドキッとするほどコ・ワ・イ。
「みんな静かにしなさーい、可哀想でしょうワンワン吠えちゃ」
と、お母ちゃんは言いながら、そのわんこを覗き込み、
「あなたはどこの子? 捨てられちゃったのかな? それとも迷子? そう、そうなの、おなかすいてるのね。今ごはん持って来るから待っててね」
と、わんこは何も言っていないのに、勝手にしゃべって、勝手に答えている。
お母ちゃんは、「ねぇー、ポーちゃん。この子、捨てられて野良犬になっちゃったのかな?……なんか、すごく苦労してそうで可哀想だよね。見かけが怖そうだから、なかなか飼ってくれる人、見つかんないよねー……どうしよう?」
と、私に相談してきた。
「お母ちゃん無理だよ。私に相談されても、私がこの子の面倒見るわけいかないし、お散歩だって連れて行けないもん」
「そうだよね。ポーちゃんがお散歩に連れて行ったら、逆に引っ張られちゃうね。でも、それにしても伊豆高原は、なんでこんなに捨て犬が多いんだろう。犬とか猫とかこういう動物たちは、人間が最後まできちんと面倒見なきゃいけないのに、無責任すぎるよね。別荘に遊びに来てて、飽きたからと置いて行ってしまったり、この前みたく子犬と一緒に母犬まで捨てて行っちゃうんだものね。捨てられたあと親子わんこがどうなるか、わかりそうなのに……」
「お母ちゃん、その捨てられた親子わんこは、どうなっちゃったの?」
「可哀想にね。発見した人から聞いたんだけど、お母さんわんこは山の木に繋がれてしまったから、そこから動くことも出来ず、なんにも食べれなかったんだろうね……結局、おっぱいも出なくなって、子犬たちは餓死していたんだって」
「餓死って?」
「何日も何日も、ご飯が食べれなくて、栄養失調で死んでしまうことなんだよ。のどがかわいても、お水だって飲めないんだよ。辛かっただろうね」
「うん。私だったら、絶対に我慢出来ないと思う」
「子犬たちは、よほどおなかがすいていたんだろうね。お母さんわんこのおっぱいにしがみついたまま、全員死んでいたんだって。お母さんわんこは、その死んだ子犬たちを、おなかにしっかり抱え込みながら、かろうじて生きていたけど、病院に連れて行ったときにはもう手遅れで、間もなく息を引き取ったそうなんだ。発見した人もその姿を見て、捨てた人間への腹立たしさと悔しさが込みあげてきて、どうしようもなかったって……」
「そういう残酷な捨て方をした人間は、警察とか裁判所とかで探し出して刑罰を与えればいいのに!」
「本当にそうだね。ポーちゃんの言うとおり、わんこたちと同じ目に合わせればいいのよ。自分たちも同じ苦しみを味わえばいいのよ。動物の法律は一応あるけど、人間の事件みたく力は入れてくれないからね」
「犠牲になる動物はいっぱいいるのに! 私たち動物は、良い飼い主さんに巡り逢えることを、祈るしかないんだね……」
「わんこたちは、どんな飼い主さんでも必死で「捨てないで!」って訴えているのに」
お母ちゃんと私が、今、心の中で思っていることは同じなのだろうか?
しばらくの間、ただジィーッと、遠くを見つめていた2人でした。 |
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大川 愛子さん |
| 栃木県出身。生まれたときから大勢のわんことにゃんこに囲まれて、とびきり明るく育つ。1999年に伊豆高原に、優しい夫とわがままをなんでも聞いてくれる姑、そして家族のような動物大好きスタッフ15名と一緒に、ペット同伴専用のプチホテル・サンロードをオープン。 |
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